絵本『とらのふくやさん』3/4
「やったー!新しいシャツとズボンだ~!」
トトが言うと、
「ちょっとがんばって作ってみたのよ」
とお母さんがうれしそうに言いました。
「えー?お母さんが作ったの?」
「すご~い!着てもいい?」
と嬉しそうなトトとララ。
「えぇ。もちろんよ」
トトとララは、いつものようにパジャマをぬいで、お母さんが作ってくれたシャツとズボンを着ました。
「トト!ララ!とっても上手に着がえたわね!」
お母さんがばんざいをしています。
トトとララもビックリ。
「ほんとだ!いつも前と後ろ、へんてこりんなのに!」
「うふふ。お母さんね、前と後ろがへんてこりんにならないシャツとズボンを作ってみたの!」
「えー?へんてこりんにならないシャツとズボン?」
子どもたちが目をまんまるくして言いました。
「そうよ。前と後ろの形が同じなの。これならぜったいへんてこりんにならないわ!」
と言って、お母さんはトトとララをぎゅーっとだきしめました。
トトとララのほっぺたがさくらんぼ色になりました。
「ピンポーン」
おこりんぼうお母さんからニコニコお母さんにもどったころ、おうちにお客さんがやって来ました。
「はーい。どなたですか?」
「となりのライオンです」
お母さんがドアをあけると、ライオンのお母さんが立っていました。
「うちの子どもたちが、トトちゃんララちゃんみたいなふくが着たいといってきかないんです。
うちの子どもたち、シャツやズボンを前後ろ反対に着てばかりで……。
私も忙しいから、ついおこってしまい、後になっておこったことにがっかりするんです。でも次の朝はまた同じくりかえしで……」
「分かります。分かりますよ。私も同じでしたから。ライオンさんの子どもさんのシャツとズボンも作ってあげましょう」
実は、保育園のお友だちが
「ぼくもトトちゃんみたいなシャツがほしいよ~」
「私もララちゃんみたいなズボンがはきたいの~」
と、お母さんたちにおねがいしていたのです。
次の日はシマウマのお母さんが、また次の日はとなりまちのゾウのお母さんがふくの注文にやって来ました。
スーパーマーケットではお母さんたち同士、トトちゃんララちゃんのお母さんが作ったふくを着ると、子どもたちが上手に着がえられることはもちろん、自分たちのおこりんぼうがニコニコになるという評判も広がりました。
とうとうトトとララのおうちの前は大行列。