絵本『とらのふくやさん』2/4
お母さんは毎日仕事に行くことになりました。
朝はやくおきてごはんを作り、せんたくやそうじをして、子どもたちを保育園におくった後、走って仕事に行きます。
仕事中も失敗したらお客さんがこまってしまいます。
汗をかきながらがんばりました。
仕事がおわると、急いで子どもたちをむかえに行って、ごはんを作って食べさせ、お風呂に入れて、子どもたちとふとんに入ります。
いっしょじゃないと、子どもたちが寝ないからです。
お母さんが眠ってしまいそうですが、一緒に寝てなんかいられません。
この後お皿をかたづけて、せんたくものをたたんで、明日の用意をするからです。
朝がきました。
「おはよー。朝ですよー」
お母さんが子どもたちをおこしても、反対をむいてムニャムニャムニャ。
昨日の夜、お母さんのとりあいっこをしたり、すぐに寝なかったから、まだまだ眠たいのです。
いつもだっこでおこしてもらうあまえんぼう。
朝ごはんを食べていると、うっかりおみそしるをこぼしてしまいました。
やっと着がえがおわったかと思ったら、シャツもズボンも前と後ろが反対のへんてこりん。
お母さんは
「もぉ~」
とためいきをついて、
「ふくが反対!」
「はやく!」
「急いで!」
お父さんの分までがんばっているお母さんは、とうとうプンプンおこりんぼうお母さんになってしまいました。
でも、トトとララはお母さんをおこらせようと思って、いつもシャツとズボンをへんてこりんに着ているわけではありません。
気がついたら、前と後ろが反対になっちゃうんです。
「も~」
とうとうトトの目からなみだがポロリ。
「あ~あ。また着がえなおし。イヤになっちゃう。前と後ろなんかないシャツとズボンがあったらいいのに」
とララが言いました。
ちょうどそこを通りかかったお母さん。
前は子どもたちがどんなに失敗しても楽しかったのに、今はおこりんぼうになってしまっていることを悲しく思いました。
だけどすぐニコニコになりましたよ。
「いいこと考えたわ!」
その夜、お母さんは子どもたちが眠ったあと、せっせと何かを作り始めました。
朝がくると……